エレキットのプリアンプ TU-875 __________________ 加工済みのシャーシーを買ったと思ってエレキットのプリアンプ TU-875 のジャンク品をヤフオクで購入。古いプリアンプなので興味を持つ人は少ないと思う。Phonoアンプは必要がないので、ただのLineセレクタと2倍程度のゲインのアンプになる。2倍のゲインなら、USBDACには丁度いいハズ。但し、そういう目論見があって買った訳ではない。なんとなく買ってしまった。
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TU-875
左のつまみは 回転でバランス プッシュでセレクタの仕様
右はボリューム |
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下の基板 |
真空管は1本だけ付いていた。それをLINEアンプ段に付けるとして、その他に7Vの電源とそれに合う プラグ またはジャック変換アダプタがない。なんで、動作の確認は出来ていない。
する事もないので、ネジを外して中身をみた。
写真撮影用にフロントパネルを掃除してあげた。
少しだけ男前になったと思う。
■ネットでTU-875の情報を探してみた。__________________________
LINEアンプ段の回路図が有った。まずはそれをヒントに自分の改造(改悪?)を計画。
altum73 さん のブログ 「日々徒然」のリンク https://altum73.blog.fc2.com/blog-entry-454.html
TU-875を探すにはこちらのリンクが便利
日々徒然内の検索 875
ブロガーによるTU-875 カテゴリー記事
以下は、ボヤキ。
■エレキットのHPによると以下の仕様。
最大出力が22vは間違い? 歪率x%以下で能力を記載しただけで意味はないのだろう。
CD等を入力とすると入力電圧は2V。2.5倍のゲインなら、単純には5V以上の出力は出ないはずだしね。
さらにLINE入力の定格は230mV。2.5倍のゲインなら0.58V出力が定格出力。
辻褄が合わない。
さらに、定格出力は何を意味するのだろうか?
こういう時は、自分の頭が間違っている事が殆どなので、頭冷やして考えた方が良い。後で読み返そう。
■エレキットのHPから
●使用真空管/FET(信号系):6189W(12AU7)×3、2SK170×4
●入力端子:PHONO×1(MC/MMはリアパネルのスイッチで切り換え)、LINE×2、TAPE(MD)×1
●出力端子:PRE-OUT×1、REC-OUT×1
●入力抵抗:PHONO:100Ω(MC)、50kΩ(MM)/LINE・TAPE(MD):40kΩ
●定格入力:PHONO:0.3mV(MC)、2.7mV(MM)/LINE・TAPE(MD)230mV
●最大出力(1kHz,THD2%):PRE-OUT/22V REC-OUT(PHONO時)/13V
●SN比(IEC):PHONO/72.5dB(MC)、84.5dB(MM)、LINE・TAPE(MD)94dB
●周波数特性:PHONO/RIAA偏差0.8dB以内、LINE・TAPE(MD)2Hz~130kHz(-3dB)
●電源:DC7V±0.5V(消費電流約1.8A)、専用安定化ACアダプタ付属(入力AC100V 50/60Hz)
●重量:1.8kg
●サイズ:W130×H125×D248mm(突起物を含む)
※TU-875はプリアンプなのでスピーカを鳴らすことは出来ません。別途パワーアンプが必要です。
■LINEアンプは_____________________________________
回路図から、12AU7による P-G帰還 1段
12AU7の増幅率: 20
R21: 200kΩの NFB 抵抗
R11: 68kΩの入力抵抗から
アンプとしては2.56倍のゲインとなる。
なお、ジャンク品には真空管12AU7は Philipsの 6189が付いていた。6189は
製造年月番号 8319だったので、1983年19週...5月初旬製造。ちょっと前までアメリカ製の12AU7は入手性には問題なかったと見える。Philipsのグリーンのものは1980年代まで製造してたんだね。最近のエレキットの後継機種では中国製の真空管を使用しているらしい。
■小変更で特性を改善するには_________________
多分、以下の様な事をすると望ましい方向にバランスすると思う。
①12AU7 ⇨ 12AX7 ノイズが少ないので。
②抵抗は 熱雑音の低下を狙って 全体で下げるのはどうか?
入力インピーダンスが低いか?ハイパスフィルタ性能が気になる所。仮に、1uFのコンデンサを通して前方から押し出されると、68kΩのままなら、極は2.3Hzとなる。22kΩにすると極は7.2Hzとなる。これで良いとも言えるし、ダメとも言っていい。微妙な所。メタル管の bluetooth Recieverの時と同じ悩み。
ペルケさんのプリアンプに全く同じ構成のLINEバッファがあり、12AU7 PG帰還68kΩ/180kΩとなっているのでTU-875の構成とほぼ同じ。以下にリンクを貼り付ける。
http://www.op316.com/tubes/pre/pre1.htm
増幅率: 100(12AX7)
R21 200kΩ ⇨ 47kΩ
R11 68kΩ ⇨ 22kΩ
アンプとしては2.0倍のゲインとなる。
プリアンプのゲインは、1.5〜2.5程度で良いでしょう。
ダメな点は、12AX7にしては47kΩの帰還の負荷は重いかも。 逆にノイズが増える?
入力インピーダンスも下がり過ぎて、相手によっては、負荷が大きくて十分な出力が得られないかな?
ゲインの計算はどうするか、腑に落ちていないので、いつもイイ加減。
なのでペルケさんのHPから計算式をコピーしてみた。
抵抗変更 12AX7 version ___________________________________
μ = 100、下流の負荷抵抗 = 50kΩ、カソード抵抗 = 1kΩ
初段管内部抵抗 = 100kΩ + ( 1kΩ × 100 ) = 200kΩ
初段負荷抵抗(3つあるので2回計算)
( 47kΩ × 22kΩ ) / ( 47kΩ + 22kΩ ) = 15kΩ
( 50kΩ × 15kΩ ) / ( 50kΩ + 15kΩ ) = 11.5kΩ
初段ゲイン = 100 × 11.5kΩ / ( 200kΩ + 11.5kΩ ) = 5.4倍
帰還定数 = ( 47kΩ + 22kΩ ) / 22kΩ = 3.1倍
帰還後のゲイン = ( 元のゲイン × 帰還定数 ) / ( 元のゲイン + 帰還定数 )
( 5.4 × 3.1 ) / ( 5.4 + 3.1 ) = 2.0倍
Original定数 12AU7 version ________________________________
初段管内部抵抗 = 11kΩ + ( 1kΩ × 20 ) = 31kΩ
初段負荷抵抗(3つあるので2回計算)
( 68kΩ × 200kΩ ) / ( 68kΩ + 200kΩ ) = 50kΩ
( 50kΩ × 50kΩ ) / ( 50kΩ + 50kΩ ) = 25kΩ
初段ゲイン = 20 × 25kΩ / ( 31kΩ + 25kΩ ) = 8.9倍
帰還定数 = ( 200kΩ +68kΩ ) / 68kΩ = 3.9倍
帰還後のゲイン = ( 元のゲイン × 帰還定数 ) / ( 元のゲイン + 帰還定数 )
( 8.9 × 3.9) / ( 8.9 + 3.9 ) = 2.7倍
Original定数 12AX7 version ________________________________
初段管内部抵抗 = 100kΩ + ( 1kΩ × 100 ) = 200kΩ
初段負荷抵抗(3つあるので2回計算)
( 68kΩ × 200kΩ ) / ( 68kΩ + 200kΩ ) = 50kΩ
( 50kΩ × 50kΩ ) / ( 50kΩ + 50kΩ ) = 25kΩ
初段ゲイン = 100 × 25kΩ / ( 200kΩ + 25kΩ ) = 11.1倍
帰還定数 = ( 200kΩ +68kΩ ) / 68kΩ = 3.9倍
帰還後のゲイン = ( 元のゲイン × 帰還定数 ) / ( 元のゲイン + 帰還定数 )
( 11.1 × 3.9) / ( 11.1 + 3.9 ) = 2.9倍
………………
元のゲインが十分大きくて、帰還定数が小さい場合は、帰還後のゲインは限りなく帰還定数に近づいてゆきます。反対に、元のゲインは大きくなくて、帰還定数が非常に大きい場合は、帰還後のゲインは限りなく元のゲインと同じになってゆきます。そして、元のゲインと帰還定数が全く同じ場合は、帰還後のゲインは両方のちょうど半分になります。このあたりの事情がわかってくると、負帰還の塩梅や計算はほとんどそらでできるようになります。
果たしてどうかな?
③セパレーション向上
記事によると左右のセパレーションが良くないらしい。
12AU7を1本を左右で使用しているので飛び付きが有るかも知れない。真空管を増やせないのでそれはどうしようもない。
電源系は左右共通電源で共通の22uFのコンデンサ1本を境に左右に振り分けている。ここは、信号が戻ってくるのではないか?(全く論理的ではない。) よくあるリップルフィルターの左右電源の振り分けはやった方が良い。先程例示したぺるけさんのプリアンプもそのようにしてあった。(抵抗+コンデンサ)をもう一組ずつ左右に増設出来ると良い。必要に応じて改修することにする。
■大きく変えるなら__________________
初段 12AX7 差動
12AU7 カソードフォロワー
ぺるけさんの 真空管式 USB DAC/bluetooth version4 そのままの構成
プリアンプなので、アクティブフィルタは入れるかは?思案のしどころ
■アクティブフィルタを入れるなら、250kHz程度の遮断周波数にすると100kHz程度からすっと落ちる特性になる。でも、書いていてもアクティブフィルタは何のためにやるんだろうか?の疑問に答えられていない。
■取り合えずの回答は以下の2つとしておこう。
ぺるけさんの作品と同じ回路にして 大外ししないため。
ぺるけさんの作品に後段にTAMURAの 600Ω:600Ωのトランス を付けたプリアンプがあったが、その特性に近づけるため。
■上記のために、USB DAC/bluetooth version4 のアクティブフィルタの220pFのコンデンサを33pFに変更する。(268kHzの遮断周波数になる。)
■クイック検証__________________
①12AU7 ⇨ 12AX7
正規品の条件は12AU7で1kΩのバイアス抵抗で、68kΩの負荷抵抗。
大凡、-2Vのバイアス電圧、2mAのプレート電流 62Vのプレート電圧
これをそのまま、12AX7に変えると、
大凡、-0.95Vのバイアス電圧、0.95mAのプレート電流 130Vのプレート電圧になる。バイアス電圧と電流を見ると、12AX7の-0.95Vのバイアス電圧も悪くはないOperationConditionだと思う。もう少しだけ、バイアス抵抗up(1.2kΩ)、プレート電流downでも良いかも。
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12AU7 ⇨ 12AX7変更(1kΩバイアス抵抗) |
②抵抗変更(FB)
これは図にしただけ。
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抵抗変更案
上が製品のTU-875(12AU7(6189))
下が12AX7に変更&抵抗も変更 |
■大変更案
アクティブフィルタの220pFのコンデンサを33pFに変更(ローパスの周波数は268kHz)
B+電圧が200Vなので、電圧配分を見直し。(上記の①②の検討案を利用)
C電圧も少し変更。C電圧については練れていない。(C電圧はB電圧200Vを分圧することになるので、全体の見直しが必要になる。)
出口にあるDCカットコンデンサは、0.47uFでは不足するので、1.5uF以上(可能ならば3.3uFとか4.7uF)に修正する。
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上側ボード更新案(Phonoアンプ削除) |
続きの記事はこちら
https://iwharpar.blogspot.com/2020/03/tu-875.html