2022年2月28日月曜日

LPFを理解する

USB・DACやBluetoothReceiverのLPFについて、なんとなく理解できていなかったので、自分の理解を深めるために少し考えてみた。

まず、バランス回路のLPFについて理解できていなかったので、これから始める。
TI社の以下の資料からバランス回路のLPFの部分の抜粋を示す。

   完全差動アンプ(Fully-Differential Amplifiers) 
バランス回路のLPF部分を抜粋


バランスの1次LPF(R0,C0で構成)のカットオフ特性はSEの特性と異なることに注意する。バランス入力部のLPFのコンデンサの容量は半分でシングルエンド入力のコンデンサ容量と等価となる。(TIの図面の右側にその様子が破線で記載してある。実にわかりやすい。仮想のGNDを置くと考えてC0を2つのコンデンサに分割すると、2倍容量のものが直列で等価となるらしい。私の直感とは差がある。驚き。)

これが理解できれば、あとは大川電子のフィルターツールで計算すると分ってくる。

まずは、フィルターなしの差動(バランス接続もほぼ同じ。)、反転増幅でゲイン2倍程度のものを考える。と以下のような具合になる。
差動 反転増幅 Gain2倍程度

上記に対して、帰還抵抗のコンデンサを並列に入れて1次のLPFとすると以下の通り。カットオフ周波数は159kHzとした。
差動 反転増幅 1次のLPF


さらに、2次のLPFとして、大川電子の「オペアンプ多重帰還型ローパス・フィルタ計算ツール」を利用して計算する。
 ゲイン 2
 カットオフ周波数 159kHz、
 減衰比ζ 0.632


で計算すると以下のようになる。ただし、前置のLPF部分はSingleEndで計算すると7.5kΩと220pFとなるのでバランス回路の場合は、7.5kΩと100pFとした。


2次のLPF(OPAMP)



バランス 反転増幅 2次のLPF



実際の問題は以下のHPのLowPathFilterのしくみが理解できなかったので、上記のように順番に追って考えると理解できるようになった。

http://blog.livedoor.jp/ekousaku/archives/42177749.html
バランス→シングルエンド回路のLPF




1段目は1.8kΩと165660pFの1次LPFと等価。ゲイン=1.、極=536134kHz
2段目は7.5kΩと220pFの1次LPF付OPAMPと等価。 ゲイン=1.59、極=96.4kHz
2段のCR式のLPFと等価となり、以下のような特性になるらしい。

 ゲイン 2
 カットオフ周波数 227114kHz、
 減衰比ζ 1.67351.155

少し部品を増やして(抵抗が2つ多い)多重帰還型のLPFにした方が、思い通りの2段式の減衰が得られる。(抵抗を増やしているので不定問題になるので、適当にコンデンサ容量を仮定し、何度か計算して適当な抵抗の組み合わせを得るようにする。



ついでに、LTspiceを使用して周波数特性が適切かも調べた。(J-FETは2SK30A相当、2SK117A相当、2SK170A相当になるように、|Yfs|=gm(μs)とCig(入力容量)に近いものを見つけてシミュレーションをしてみた。

 2SK30A相当 J204
 2SK117A相当 2N5564
 2SK170A相当 2N5434

■作成したLTspiceモデル
■シングルエンド入力 バランス出力
比較するのは、ぺるけさんの平衡プリアンプVersion2の特性こちら
http://www.op316.com/tubes/balanced/image/balprefet-freq-line.gif

LTspiceでVersion2を再現

■バランス入力 バランス出力
(負入力は制御型の電圧源を使用して反転電圧を生成)

  反転電圧については、MACNICAの以下のHPを参照


■LTspice結果
■シングルエンド入力 バランス出力
 
周波数特性

■バランス入力 バランス出力
周波数特性

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